←体験談トップへ
3ヶ月が過ぎ・・・
塩田陵
2006年8月開始
アメリカに降り立って、3ヶ月があっという間に過ぎた。
ここでの経験は全てが印象的であり、ここでの思い出は3ヶ月経った今も鮮明に思い出すことができる。
まだ日本にいた頃、大学では外国語学部に所属し、スペイン語とラテンアメリカ地域経済を専攻していた。そのため、昔から中南米に留学をしようと考えてはいたけれども、単なる語学留学する気はまったく無く、興味のあった国際協力に携われる大学や団体を探していた。そこで発見したのがCCTGだった。CCTGはニカラグアでのマイクロクレッジットや環境などに関わるボランティアを募集していた。また、アメリカで半年間の研修を行うと知り、スペイン語だけでなく英語も勉強することができ、マイクロクレジットプログラムにもともと興味のあった私にとってはまさにうってつけのプログラムであった。そして、僕はすぐにCCTGと連絡を取り始めた。
そして、期待と不安を胸にとうとうCCTGでの生活が始まった。ここでは、当然ながら全て英語で日常生活が行われるので、英語をほとんど話せなかった僕はとことん苦労した。しかし、日本の大学で語学漬けの毎日に疑問を感じていた僕にとって、昔から興味のあった開発について学べる日々はとても充実していた。ここではアフリカや中米の歴史や現状を始め、人権問題、経済問題、ジェンダー、HIV・エイズなど、今まで知らなかった多くのことを学ぶことができた。
また、勉強よりも大切な人間関係についても学ぶことができる。CCTGでは1つの建物で、先生や国際ボランティアが衣食住、勉強全てを一緒に行う。そんな中で、国境を越えた友達を作ることもできるが、もちろんいいことばかりではない。複数の人間がともに暮らせば、やはりそれなりに葛藤など、人間関係にも問題が出てくることもある。特に国際ボランティアは基本的にチームで行動するのでお互いを意識し合いながら行動していく必要がある。もともと、どちらかといえば単独行動の方が自由で好きであった私にとっては、勉強させられることが多々あった。
そして、上でも述べたように、CCTGでは日本でできないような様々な経験をしてきた。その代表的なものが西海岸のカリフォルニアから東海岸のマサチューセッツまで車で行くというアメリカ大陸横断である。目的はCCTGの姉妹校であるマサチューセッツ校とミシガン校とともにスポーツ大会を行い、お互いの交流を深め、また行程の途中でいくつかの都市でCCTGのプロモーション活動をするというものである。往復7,000マイル、8日間を要する果てしない旅は、想像以上に大変ではあったが、その反面、飛行機では味わえないアメリカの壮大さを垣間見ることができた。カリフォルニアから出発し、自分の車以外何もない広々とした道で、辺り一面埋め尽くす緑豊かな自然を感じながら爽快に走ったと思えば、次には見渡す限り乾ききった砂漠に遭遇し、遥か彼方には青く澄み切った空と日本では見ることのできないほど広大な地平線が臨んでいた。ニューヨークやシカゴ、フィラデルフィアなどの大都市も訪れた。旅の途中には寄り道をして、ナイアガラ瀑布にも立ち寄った。この旅全ての経験が新鮮で忘れられないものとなった。
一方で、CCTGでは数多くの「挑戦」が待っている。その中でも一番厳しいもののひとつがFundraisingと呼ばれる募金活動だと思う。初めての募金活動の時、僕はほとんど英語を話すことができなかった。募金活動では当然全く知らないネイティブスピーカーと話さなければいけない。初めは自分の貧相な英語でうまくやっていけるのだろうかと不安はあった。しかし、多くの人に話しかけ、自分の英語が通じていくに連れ、人との会話がだんだんたのしくなっていった。ここCCTGでの大きなテーマは「挑戦」である。挑戦は正直言って楽なものではなかったが、これを乗り越えたときの気分は何とも代えがたいものである。特に、募金活動から帰ったときの自分の英語力の伸びには、驚かされた。またこの募金活動は、アフリカやニカラグアでも必要となってくる能力なので、とても実践的でいい経験になっていると思う。
CCTGには様々な国籍の人々がいる。今、現在でもブラジル、プエルトリコ、スウェーデン、エストニア、モザンビーク、韓国、アメリカ、カナダなど、オーストラリア以外の5大陸から発展途上国や開発に興味を持った人々が集まっている。彼らのバックグラウンドも様々であり、そこもまた面白い。世界中から人が集まるので、ここでは様々な文化が学べる。時には驚かされたこともあれば、理解できない習慣に疑問を持つこともあった。嫌いなチーズが、ほぼ毎食必ず出てくることにほとほと困っている。だがそのような面もあれば、各国の料理を作ってもらい、それを食べたりすることもできる。
3ヶ月経ち、最近はよくニカラグアでプロジェクトに参加している自分をよく想像することがある。僕が携わるニカラグアプログラムではマイクロクレジットという途上国の貧困層に小利子でローンを貸して、彼らの個人ビジネスの可能性を広げ、収入の増加を促し、彼らに生活的余裕を与えるというプロジェクトである。マイクロクレジットは日本ではまだあまり知られていないようであるが、2006年10月にこのマイクロクレジットを行っているバングラディッシュのグラミン銀行総裁、ムハメド=ユヌス氏がこの新しい国際協力手段の貢献に発展したとしてノーベル平和賞を受賞した。それほど優れたプログラムである。僕は2007年2月からこのマイクロクレジット活動に参加する予定である。他にも、現地の子供と遊んだり、貧しい地域で衛生のための簡易トイレの建設にも参加することになっている。
CCTGからの国際ボランティアたちは今もアフリカで活躍している。アフリカから帰ってきた彼らはみな活き活きしている。彼らのプロジェクトや経験を聞いたり、写真を見たりすると、いつも早くニカラグアへ行きたいという衝動にかられる。早くプロジェクトに携わるためにも、これまで以上にプロジェクトに関する知識を深め、より多くの経験をし、2月までに募金活動を終えられることを願うばかりだ。
|